幹線道路騒音被害訴訟
国に賠償命令 広島地裁

神奈川新聞 2010年5月21日


広島市中心部を走る国道2号と、高架上を走る西広島バイパスの騒音や排ガスなどで精神的苦痛を受けたとして、住民と遣族ら計78人(法人も含む)が国と広島市に計約1億7千万円の損害賠償や通行差し止めなどを求めた訴訟の判決で、広島地裁は20日、「受忍限度を超えている」として沿道住民36人への騒音被害を認め、計約2160万円の支払いを命じた。差し止め請求は棄却した。
国土交通省によると、幹線道路の騒音被害で国などに賠償を命じた司法判断は、兵庫県・国道43号訴訟の最高裁判決(1995年)以来2例目。
判決理由で橋本良成裁判長(植屋伸一裁判長代読)は、最高裁が示した受忍限度の平均65デシベルを踏襲。対象区間(4.2キロ)沿いの住民について「騒音で睡眠や会話ができないなどの被害を受けており、受忍すべき限度を超えている。夜間の屋外の最大値では、バチンコ店内や1メートル離れた電動かんなの騒音と同じ80〜90デシベルの地点もあった」と指摘した。賠償額は原告1人当たり約15万〜約105万円。
一方で「健康被害にまでは至っておらず、重要な役割を果たしている道路だ」と公益性を評価。通行差し止めの必要性は認めず、沿道で働く人らについても「道路から利益を得ている」として請求を退けた。


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