車掌さんのアナウンスは春うらら
主婦 小磯 茂代(神奈川県藤沢市 62)
朝日新聞 2010年4月23日(朝刊)
日曜日の朝10時すぎ、片瀬江ノ島行きの小田急線車内は行楽客でかなりにぎわっていた。藤沢駅到着を知らせるアナウンス後、「風は少しありますが……」と言葉が続いた。
「あれ?」と思って聞き耳を立てると、今日は1日良いお天気のようです。どうぞこの先も気を付けてお出かけ下さい」。穏やかな挨拶だった。
車掌さんは藤沢駅で交代。「すてきなアナウンスですね」と伝えたかったけれど、次の駅まで行くので、窓から見るだけで我慢した。「春うらら」という言葉をまとっているかのような車掌さんが、ゆったリホームを歩いていた。
うれしくて、それから会った人たちに片端から「いい話を教えてあげる」と報告。「こういう話、最近すごーく感動するよね」「『今、窓から富士山がきれいに見えます』って言う車掌さんもいたよ。その人かなあ」「良かったね、そんな人に会えて」。色々な反応を楽しみながら終わった春の休日だった。
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