元気なインドと静かな日本
会社員 田邊邦夫(東京都八王子市 59)

朝日新聞 2010年3月13日(朝刊)


2月下旬、初めてインドに行った。過去60年の日本の成長の歴史を、わずか1週間で見てきたように思えた。

バラックの林立、高速道路や地下鉄の建設ラッシュ、地価高騰や成り金の出現といった、日本でいうと敗戦後、高度経済成長、バブルという三つの時代がインドでは同時に起こっていた。インドの成長のテンポは速く、生きる人たちの生活エネルギーは音を立てていた。それに比べて帰国したときの日本は静かで、30年前に旅行したヨーロッパの国々のようであった。

滞在中に知り合ったガイドによると、企業などインドへの進出が目立っているのは中国と韓国で日本は後退・縮小しており、大学で組まれていた通年の日本語講座が廃止されたりしているという。

グローバル経済にいち早く対応して成長を続けるインドに対し、日本は経済の停滞が続いている。日本でも、国民に一刻も早く元気を取り戻させる政策が必要である。


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