HV車「人工音」 時速20キロ以下に
国交省ガイドライン「疑似エンジン音」限定せず

産経新聞 2010年1月26日


「走行音が静かすぎて危険」と指摘されているハイブリッド車(HV)や電気自動車に、人工音を出す装置の義務づけを検討してきた国土交通省が、走行音が特に小さい時速20キロ以下に装置の適用範囲を限定することを盛り込んだガイドラインを月内にまとめることが25日、分かった。具体的にどんな音にするのかには踏みこまない見通し。騒音を抑える現代の技術開発に逆行する「世界初の取り組み」(国交省)だけに、手探りでのスタートになりそうだ。

HVは発進時や低速時は電気モーターだけを使うためエンジン音がしない。発進時の音量は一般車の50デシベルに対し、HVは「人のささやき声」程度の30デシベルと小さい。視覚障害者らから「接近しても気づかない」と事故を恐れる声が上がったため、国交省は有識者らによる検討委員会で人工音を出す装置を新車に義務づける方向で議論。まずはガイドラインを示し、任意での装着をメーカーに促していくことにした。

ガイドラインには、疑似エンジン音など自動車の走行状態を想起させる音にする▽音量は一般のエンジン音と同程度▽発進時から時速20キロまでの走行、後退時に自動で音が出る仕組みにする―などといった基準が盛り込まれる見通し。

音の種類は、当初から疑似エンジン音が有力視されてきたが、「未来的な車になぜ不快な音をつけるのか」とのユーザーの不満も強い。

このためガイドラインではあえて限定せずに、メーカーの開発努力にゆだねることにした。深夜の住宅街での車庫入れなど騒音を抑えたい場面を想定し、一時的に発音を停止できるスイッチの装着も認める方針。「全く発音を抑えられないと速度を上げて音を止める人が出かねない。HVのメリットを損なわない配慮も必要」(国交省)なためだが、スイッチがオフのままにされる懸念も残る。すでに販売されているHVへの対応も先送りされる見込みになるなど、今後の検討課題は山積している。

燃費効率が高いHVの人気は年々上昇。エコ減税などの追い風も受け、昨年はトヨタ自動車のHV「プリウス」が車種別の年間国内販売台数で初の首位に躍り出た。検討委ではメーカー側から「開発には2年は必要」との意見も出たが、国交省の担当者は「HVの普及が進んでおり対策は急務。早期開発に期待したい」と話している。       (海老沢類)


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