デスクノート

神奈川新聞 2010年1月19日


欧州の街を旅した時、ある奇妙な感覚にとらわれたことがある。少し歩いて、それが「静けさ」であることに気づいた。日本の繁華街では、音楽や誘客のアナウンスが交錯し、音の洪水とさえいえるところが少なくない。

学生時代にアルバイトをしたレストランでは、ロックがけたたましく鳴り響いていた。すべて店長の好み。お客に避けるすべはない。「猛犬」と警告の看板を出す民家と同じく、せめて「ロック」と掲げて訪れる人に選択権を与えるべきでは、と思ったものだ。

嫌煙権が主張されるが意外に音に対しては寛容。奇妙な感覚は、日本の日常に対して感じるべきかも。
(文化部・丸山 孝)


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