風雨に消えた防災放送

自営業 ●●●●(82)(東京都葛飾区)

東京新聞 2019年10月21日(朝刊)


台風19号で都内も大雨特別警報が出され、体験したことのない一夜を過ごしました。結果的には、私の住む地域は停電も水害もなく無事でしたが、翌朝、テレビが映す風景は、河川の氾濫で数多くの家が泥水に漬かっており、何とも恐ろしく、被災された方々は本当に大変なことだと思いました。

今回の台風では、区の防災放送が頼りになりませんでした。音はすれども声は間こえず。日頃は夕方、「外に出ている子どもたちは家に帰りましょう」などの声が流れてくるのですが、台風接近の非常時に、大事な知らせが聞こえないのでは意味がありません。 少しして役所から入った携帯のメールには「お年寄りや子どものいる方は避難の準備をして今から行く方がいい」旨のことが書いてありました。それも読んでいるうちに、なぜか消えてしまい、次に届いた時は「全員避難をするように」でした。この時も放送は、何を言っているか分かりません。大雨と風で外に出るのがかえって危ないので私は自宅に残りました。

 避難場所に行った方の話では、もう満員で、毛布を持参したのが正解だったとのこと。床にシートが敷かれただけで、一晩だから過ごせたが、何日も続くようだったら耐えられないとの話でした。災害はいつ起きるか分からず、高齢者や体調の悪い人は多くいるはずです。もう少し、居心地をよくする工夫はできないでしょうか。

最後に、やはり大事なのは情報です。誰もがネットを使えるわけではないし、そもそもネットは不安定。防災放送の声が強い風雨の中でも確実に届くなど、伝達方法を考えてほしいと思いました。


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