演劇空間壊す 着信音厳禁

団体職員 ●● ●● 62歳(川崎市多摩区)

東京新聞 2019年02月23日(朝刊)


演劇を観賞中、静かなシーンで携帯の着信音が響いた。暗澹(あんたんたる)思いに突き落とされた。開演前、係員が「携帯電話、スマートフォン、アラーム時計などの音の出る機器の電源はお切りください」と再三呼びかけていたのに…。

実は、こうした残念な出来事に時々遭遇する。舞台は演じる側と観客でつくり上げる空間だと思う。その繊細な空間が着信音でかき乱される。感情を表す台詞(せりふ)の微妙なトーンや声の強弱など、俳優の心血を注ぐ演技が妨害されてしまう。

観客とて、演じる側が発信したものを寸分たがわず受け取ろうとしているのを邪魔される。舞台は生き物。演技者、観客双方に気持ちの良い上演となるよう、マナーを守って観劇してほしい。


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