館内自治体 防災無線整備に課題も

北海道新聞 2017年09月01日(朝刊)


北朝鮮による弾道ミサイル発射に関する住民への情報伝達で、石狩管内では札幌市だけでなく江別市にも防災行政無線がなぐ、北広島市や当別町には住民周知用のスピーカーがないことが分かった。住民は携帯電話の緊急速報メールやテレビ、ラジオなど緊急情報を知る手段が限られ、不安の声が上がっている。
ミサイルが発射された8月29日早朝、国は全国瞬時警報システム(Jアラート)でミサイルの発射情報を各自治体に発信。石狩管内では防災無線のある千歳、恵庭、石狩、新篠津の4市村が、Jアラートと連動している屋外スピーカーや各家庭などに設置された戸別受信機で、住民に緊急情報を伝えた。
一方、北広島市と当別町にはJアラートと連動する無線はあるが「市民に周知するスピーカーがない」(北広島市)、「スピーカーの設置は総合体育館など5施設だけ」(当別町)。防災行政無線のない札幌市と江別市を含め、3市1町は独自に住民への情報伝達ができなかった。
札幌市の幹部は「海に面しておらず、津波や台風などの自然災害が少ないため、防災行政無線はそれほど必要とされてこなかった」と説明する。ミサイル発射を受け、市民から「携帯電話を持っていない人はどうするのか」「スピーカーで周知するべきではないか」などの声が相次いで寄せられている。
ただ、札幌市全域をカバーする防災行政無線のスピーカー整備には、数十億円規模の予算が必要という。市危機管理対策室は「北海道特有の気密性の高い住宅内には、スピーカーの音が伝わるかも課題」とし、携帯電話を持たない世帯には、災害時に自動で電源が入る防災ラジオの提供などを検討していく考えだ。
江別市は「携帯電話を持たない市民への周知方法を、さまざまな形で検討していきたい」(危機対策室)としている。
道外の主な政令市では大阪市、名古屋市、神戸市などが自然災害時、市全域に情報伝達できる防災行政無線を整備している。


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