2016年06月日04 朝日新聞(朝刊)
言葉はうつろいゆくものと知りつつ、「なぜこんな言葉遣いが広まっているのか」を考えてしまうヘソマガリ。いまさらだが、「〜させていただく」という表現について考えた。
これが広まるきっかけは、恐らく芸能・テレビ関係者の「出演させていただく」といった言い方だろう。業界内の立ち位置、媚(こ)びへつらいなどが漏れ出て、みっともない。
選挙カーががなりたてる「お訴えのほうをさせていただきます」という文句を考えてほしい。定着してしまった「お訴え」に「のほう」「させていただく」と、安物の修飾やぼかしの見事な連結。私は、その人の演説はご遠慮のほうをさせていただきたい。
多くの場合、「〜させていただく」は「〜いたします」で十分です。ご参考までに。