臨床心理士 ×××× 56 (東京都中野区)
2015年11月14日 東京新聞(朝刊)
神宮球場で行われる学生野球、東京六大学野球リーグは今年で90周年を迎えた。
私は学生時代から30年以上、母校の応援に行っている。春秋の神宮外苑の自然を楽しみながらの大学野球観戦は楽しみである。
この間の大きな変化のひとつが電光掲示板だ。スコアボードだけにとどまらず、出場各校の校歌や応援歌の歌詞が表示されたり、ベンチ入リメンバーが紹介されたりと、工夫がなされサービスも向上している。一方で、最近悩まされているのがCM、特にCMソングの音量である。イニング交代の夕イミングで電光掲示板はCMタイムとなる。スクリーンは見なければやり過ごすことができるが、あの爆音はひどい。
もうひとつ大きな変化として「応援席」の登場がある。以前は「学生席」で現役の学生のための応援席であった。数年前に「応援席」に変わり、大学OBなど関係者も共に応援できる席になった。
私も時々応援席で観戦するが、そこでもCMの音量が問題となる。イニングの交代の時には、応援団員の「注目!」「何だ!」「そうだ!」の掛け合いが名物である。応援団は声を張り上げてメッセージを発する。客席は、それに応える。そして次第に吹奏楽団の演奏が始まり応援歌を全員で合唱する。これが学生野球観戦の醍醐味なのだ。それがCMの大音量で見事にかき消される。
これでは学生野球は台無しだ。大きな声を張り上げる応援部の学生には気の毒である。神宮球場のアンケート用紙で再三改善をお願いしているが受け入れてもらえない。再考願いたい。