選挙の騒音は棚上げ?
会社員 佐藤 篤志 46(埼玉県志木市)

東京新聞 2014年9月13日(朝刊)


自民党のヘイトスピーチ規制策を検討するプロジェクトチームが8月28日、ヘイトスピーチ(憎悪表現)規制に絡め、国会周辺デモも大音量を理由に規制できないか検討を始めたとの記事を読みました。その後、批判を受けて撤回しましたが、開いた口がふさがりません。デモ規制の考えにもあきれましたが、それ以上に、国会議員がデモの音量は騒音だとして規制すべきだと考えたことに唖然としてしまったのです。

議員の皆さんは選挙で当選して今の立場にあります。その選挙のたび、駅前に陣取ったり、住宅地を回りながら、支持を訴える大音声をあげていたことを覚えていないのでしようか。 国会周辺のデモの様子を見ようと、何度か現場を歩き回ったことがあります。確かにスピーカーも複数設置されてボリュームアツプされてはいましたが、選挙時にがなる駅前演説と大して違わない印象でした。デモの声で「電話も間こえない」と言うのであれば、駅前周辺のオフィスは選挙の演説のたびに電話の邪魔をされていたことになります。それどころか、こまめに住宅地をめぐる選挙カーは乳児に昼寝をさせようとする家庭にとつては右翼の街宣車とまごうばかりでした。

ついでに、選挙カーは夜の八時まで活動を許可されていますが、それで就寝を妨げられた乳児も少なくないと想像します。国会前には民家はなく道路と建物の間にもかなりの余裕があります。その国会でのデモの音量を気にする前に、ご自身が選挙でどの程度の音を出してきたか振り返ってみてはいかがでしょうか。


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