盆踊り、無音のワケは?
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朝日新聞DIGITAL 朝デジジャーナル (朝刊) 2013年8月31日(土)


イヤホンをつけ、静寂の中で輪になって盆踊り。愛知県東海市には「無音盆踊り」なるお祭りがあります。

5年前からある行事ですが、今年の祭りの様子が民放の情報番組で紹介されると、ネット上では「シュール」との評のほか、「異様な光景」「風情がなくて寂しい」「騒音問題もここまできたか」と賛否両論の話題を集めました。

祭りの大会長の森岡厚さん(51)にこうした意見をぶつけてみると、「騒音問題ではなく、集客問題が一番の理由なんです」と意外な答えが返ってきました。

盆踊りの踊り手が高齢化し、お祭りの参加者減少に歯止めがかからなかったことに悩んでいた森岡さん。でも、地域の役員や商店主が手弁当で運営する「どこでもやってる夏祭り」では、活性化への人員もお金もかけられません。そこで「人集めに苦労するよりも、人が勝手に集まる日時に祭りをやればいい」と、市の花火大会と同じ日に開催し、場所も駅前へと変更したのです。花火大会は午後8時半までやっているため、「花火帰りの人に見てもらうには夜10時までは踊りたい。そうなると夜遅いので、無音盆踊りを取り入れた」とのことでした。夕方から日暮れにかけては、普通に太鼓や笛を鳴らして盆踊りをしています。森岡さんは「その時間帯なら本当にどこにでもある普通の夏祭りです。無音盆踊りへの批判は承知の上ですが、話題になるだけでもうれしい」と話しています。

無音の際は、盆踊りの曲をFM電波で飛ばし、祭りの常連客は携帯ラジオを持参して参加します。将来は携帯ラジオだけでなく、箸や食器も持参してもらい、祭りの屋台につきもののゴミ問題を解決したいという目標もあるそうです。

ネット上には批判の声もありますが、森岡さんのもとには東京都内で自治会役員をしているという男性から「うちの祭りも近所から騒音苦情が来て困っている。やり方を教えてほしい」という問い合わせがあつたそうです。        (加藤勇介)

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