生まれ変わる細胞 リズムない音楽に
佐賀の病院、不安を軽減

東京新聞 2013年5月2日(木)


病院ロビーに流れる、独特の間合いで奏でられるハープやビアノの調べ―。佐賀県医療センター好生館(こうせいかん)(佐賀市)が、7日に開院する新病院で流す音楽に特定のリズムはない。ベースになったのは、人間の組織再生のために細胞が生まれ変わる時に発する振動や、有明海の干潟などの「自然の音」だ。

病院が音楽制作を依頼したのは、2005年の愛知万博(愛・地球博)や、06年オープンの表参道ヒルズの音楽を担当した、サウンドスペースコンポーザー井出祐昭さん(57)。

「病院に来る時の不安感をどうやって軽減するかが一番のテーマ。体と関係した音の法則が根底にあれば自然性が増すのでは」と考えたという井出さん。注目したのは、人間の細胞が生命維持のため自ら死んでいく「アポトーシス」という生理現象だ。 アポトーシスに音はないが、引き起こす夕ンパク質の分子振動を数値に変換し、周波数27.5〜4186ヘルツのビアノの範囲に当てはめると、まるで作曲したかのような"音楽"が出現した。

曲はロビーや外来患者の待合場所などで流す予定。


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