英語の車内放送
誰のために?
新渡戸文化短期大学 学園長 森本晴生

JACA 2012年8月 Vol.59


駅でも車内でも乗客に対して案内放送があります。もちろん日本語です。案内表示が見当たらないときや、見ることができない視覚障害者には、案内放送は効果的です。

駅では電車や列車の行き先、発車時刻、発車番線、駅内の施設の案内などをしています。車内では、行き先、次の停車駅や到着時刻、乗換情報などを教えてくれます。この日本語の案内放送のあとで、英語の案内放送をすることが30年ぐらい前から多くなってきました。さらに地域によっては、英語の他に中国語、韓国語、ロシア語での案内表示や案内放送もあります。これで外国人旅行者には、日本は旅行しやすい国になっていくようです。

英語圏以外の国に行った場合、その国の言葉で案内放送をしています。正確に言うと、言葉が分からないから「案内放送をしているらしい」と思っています。そのほかに、英語の放送があると意味が多少は分かります。日本語の放送をしているのは、日本から直行便が行っている空港ぐらいで、その国の国内線では英語放送もほとんどなく、日本語放送はありません。

ところで、日本での英語の案内放送を聞いていると、これでは英語を普通に使えない人には分からないだろうと気づきました。発音はきれいですし、言い回しにもあまり問題は感じませんが、話すのが速すぎるので理解できないのです。韓国に行った場合に、韓国語と英語とで普通の速さの案内放送があったとき、韓国語も英語も理解できない日本人が多く、困るだろうと推測できます。日本の駅や電車での英語放送は、かなりの数の外国人の乗客に対して「通じない案内放送」となっています。

成田国際空港では、案内放送は日本語と英語です。特徴的なのは、英語の放送が非常にゆっくりしていることです。これと比べて、日本の駅や電車の案内放送は、形式的に、世間の動きに従って、英語でも放送しているので、外国人があまりいないので苦情が出てこないのでしょう。

ひるがえって、学校で学生に指示する場合の教職員の話し方は、学生に理解できるようになっているのでしょうか。私自身、短期大学生とは40年以上も年齢差があるので、単語も用法も違っているはずです。心を込めて話しても学生には通じていない、学生は聞いて分かったとしても私の意図を取り違えていることが多いのだろうと、反省する毎日です。


home