鑑賞中は静かに 改めて認識
無職 一谷 隆(京都市西京区 78)
朝日新聞 2012年8月13日(朝刊)
先日、ある美術展でかつてない光景に出合った。百貨店の中にある美術館での切り絵展だったが、入り口に「会場内は静粛に」との立て札があり、同趣旨のプラカードを提げた係員が巡回していたのだ。
観客のおしゃべりが過ぎて、静かな鑑賞を妨げられた人が苦情を寄せ、対策を求めたのだろうか。百貨店の中にある美術館は、買い物のついでに立ち寄れて気軽に美に触れることができる。半面、仲間と感想を述べ合うのも行き過ぎることがある。子どもから、大人もこうして言われないとだめなのかと思われたら恥ずかしい。会場での感想は「これ、いいね」程度にとどめ、あとは近くの喫茶店で続けるほうがいい、と再確認した。
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