170億円の防災システム
津波把握に生かせず

朝日新聞 2012年6月12日(朝刊)


計約170億円が投じられた内閣府の「総合防災情報システム」が、昨年3月の東日本大震災でほぼ使えなかったことが分かった。主な情報収集の対象が地震だけで、津波や火災の被害把握には生かせなかったという。内閣府は改善を検討するとしている。

内閣府は1995年からシステムを整備。地震時に気象庁などを通じて震度データや人工衛星の画像を受け取り、被害を推計・把握して地図に落とし込んでいる。しかし、津波や火災は対象外だった。また、自衛隊など国の機関とは情報を共有していたが、自治体や民間の支援団体などには届かない仕組みだった。

11日の省庁版事業仕分け「行政事業レビユー」で、外部有識者が「地震と津波や火災はセット」「システムを作ること自体が目的化している」と厳しく指摘。大幅な改善を求めた。

(赤井陽介)


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