音楽過多症の社会に静寂を
主婦 藤宗 洋子
(神奈川県横須賀市 61)


作家赤川次郎さんの連載「三毛猫ホームズと劇場に行こう!」(12月24日夕刊)で、映画やドラマが「音楽過多症」に陥っているとありました。まったく同感です。

先日、映画「私は貝になりたい」を見ましたがとても良い作品なのに音楽が終始耳障りで映像に入り込めませんでした。

現代の社会環境を考えてみると、若者は常に耳にイヤホンを付けています。周囲が静かすぎると勉強に集中できないという子供たちの声を聞いたこともあります。私たちの年代もテレビやラジオつけっぱなしで家事をこなします。知らず知らず音の洪水の中での生活に慣れてしまっています。

ドラマや映画が「音楽過多症」になるのも、こんな時代を反映しているのかも知れません。

友人に、バードウオッチングが趣味の人がいます。便りには小鳥のさえずりや川のせせらぎなど自然が奏でる音楽に耳を澄ませる様子がつづられています。私は手紙を読むたび静寂の世界に引き込まれます。赤川氏の一節「沈黙もまた、ドラマの一部なのである」が心に深く響いてきました。


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