防災無線の半数故障
八戸沿岸域の18局
住民の連絡で判明
朝日新聞(青森版)2011年3月20日(朝刊)
八戸市沿岸域に設置した市の防災行政無線の約半数が、11日の津波などで故障し、使えない状況になっていることが分かった。市によると、19日朝までに沿岸域の39局のうち18局が海水をかぶって機能しておらず、他にも震災後の停電の影響で使えなくなった防災無線があるとみられる。すぐに使えるようにするのは難しく、市は緊急時には消防などを通じて通報するとしている。(大西史晃)
市は、代替手段は整えており、混乱も避けたいとして、住民に広く伝えることはしていなかった。津波の恐怖が消えない中、海沿いの住民らは機能しない防災無線の下で生活していたことになる。
市によると、防災無線は高さ十数メートルの柱の上部に設けられたスピーカーから流れるようになっている。だが、主要な機器は点検などをしやすいよう手が届く高さに取り付けてあり、その部分が11日の津波で海水をかぶって故障したとみられるという。
故障に気づいたきっかけは14日。「津波が来る」との情報が寄せられたため、市が避難指示を出したが、住民から「防災無線から音が出ない」などと連絡があったという。そこで市が調べると、沿岸域の新湊や大沢など18局の故障が判明した。
市は、機器が海水をかぶっていることからすぐに直すのは難しいとしている。津波注意報の解除後、被災した家屋や事業所などの片付けや復旧作業のため、沿岸域に出ている住民もいることから、市は消防に協力を求め、緊急時には消防のサイレンなどで知らせるようにした。さらにパソコンや携帯電話に津波などの情報を送る市の「ほっとスルメール」を積極的に活用するという。
市内の防災無線は1985年から順次設置され、来年度から2カ年で交換予定だったという。市防災危機管理課の担当者は「機器が海水をかぶらないよう、設置場所などを改めて考えないといけない」と話した。
防災無線の故障はおいらせ町や階上町でも確認されており、防災態勢上、今後の大きな課題になる可能性もある。
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