市議会で地震対策特別委員会

わかやま新報 2011年3月16日


 和歌山市議会の地震対策特別委員会(古川祐典委員長)が15日に開かれた。東日本大震災による大津波警報では、市内の防災無線や避難時の問題などが各委員から指摘され、市の防災行政について新たな課題が浮上した。市は今後起こるとされる東南海・南海地震など大災害に備えて改善を検討する。市の担当者は「現地の映像を通じて津波の恐ろしさを改めて知った。教訓をもらった。犠牲を無駄にしないようにしなければ」と決意を述べていた。

 まず、委員から市内の防災無線について「放送が聞こえない地区がある。今後どのような対策をするか」と質問があり、担当課は防災無線は市域の53%のカバーにとどまっているとし、「行政無線が聞こえない場合に備え、ことし5月までに電話で無線内容を確認できるサービスを組み入れる予定」と明かし、「防災無線自体は、平成25年度までに市域の66%をカバーできるようにしたい」。さらに、池永俊二危機管理監は「防災無線は雨の場合、何を言ってるのか分からなくなることがある。ラジオやテレビのデータ放送、個人へのメールなど無線以上に効果的に情報を届けられるように対応したい」と話した。

 ほかの委員は、今回の大津波警報に伴って小学校に避難した市民が、避難後数時間で次々に自宅に帰っていった実態を指摘し、「避難所で市民に指示を出す人がいなかつたようだ。訓練不足ではないか」と質問。大江嘉幸教育長は「校長が指導力を発揮することができるかが重要。いざというときや地域との連携などの対応について今月末までにまとめたい」。また、委員は「津波の避難についてもっと細かく決めるべきだ。今回の避難では、ある私立の学校に避難したが『避難場所になっていない』と断られた市民がいた。もつと民間と協力すべきだ」と指摘し、松見弘副市長は「避難場所を見直し、民間にも協力を要請したい」と述べた。

 このほかに、「津波の避難の場合は体育館では水没する危険があるから、校舎の3、4階を開放すべきだ」、「地域の防災組織づくりをすることが課題。指導をお願いしたい」「避難時のペットの扱い方を決めてほしい」などの要望が市に申し渡された。


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