民放のCM、露出過剰
無職 岩田 進介 72 (埼玉県越谷市)

東京新聞 2011年2月26日(朝刊)


 テレビの草創期、評論家・大宅壮一氏の有名な「一億総白痴化」という言葉は、マスメディアとしてのテレビの一面の真実を突いているが、いま、民放テレビ局をむしばんでいる「白痴化」は深刻である。
 その中でも、無抵抗な視聴者に向かい、手を替え品を替えて何度も何度も襲いかかるCMや番組予告は常軌を逸している。
 以前は、スポンサーも紳士然としていて、番組放映中に断りもなくCMなどを入れるようなことはしなかった。しかし、近ごろは、バラエティーや旅番組の中にはまるごと宣伝広告のようなものもあり、私たち視聴者は番組を無料で提供されているという感覚はなくなっている。
 テレビは明らかに変質してしまった。局側の傲慢な姿勢にはスポンサー中心の利益万能主義が透けて見える。
 このような状況の下、番組の再生時にCM部分を自動的に飛ばす機能を持つテレビやレコーダーの登場は必然と考えられた。ところが、先日生産を準備していた家電メーカー各社が製品化を中止するというニュースがあった。家電業界と民放テレビ局はハードとソフトの関係であるとともに、スポンサーと広告媒体で互恵関係にあることが理由であろう。
 とはいえ、"CM飛ばし"を民放テレビ局側が自身への警鐘として受け止めることを怠れば、視聴者のテレビ離れは確実に進行するであろう。また、広告媒体としての民放テレビ局より視聴者のニーズを最優先しようとする家電メーカーが出現しないとも限らない。


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