スーパー防犯灯 お役御免
街頭犯罪対策の切り札光らず

東京新聞 2010年8月17日(夕刊)


警視庁

 テレビ電話による緊急通報機能などを備えた「スーパー防犯灯」の一部を、警視庁が年度内に撤去する方針を固めた。東京都内の109基を通じた事件・事故の通報は、昨年1年間でわずか2件だったのに対し、いたずらの通報が750件と圧倒的に多く、費用対効果が低いと判断した。(社会部・伊東浩一、加藤寛太)


昨年通報2件 かさむ維持費

 スーパー防犯灯、非常ボタン、防犯カメラ、赤色灯などを備えた街頭緊急通報システム。非常ボタンを押すと、赤色灯とサイレンが作動して周囲に異常を知らせ、テレビ電話で警察署と直接通話できる。警察署は防犯カメラを遠隔操作して現場の状況を確認する。2001年以降、全国の道路や公園に、国費や都道府県費で769基設置。東京都内では01〜04年に109基整備された。1基あたりの費用は、設置場所や機種によって異なり、100万〜1000万円ほど。

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 撤去するのは、墨田区東向島にある十九基のうち六基。防犯灯が取り付けてある電柱の移設がきっかけで、既に住民説明会を終えた。メーカーが部品製造を中止したことや、維持管理費が一基当たり年約十八万円かかることから、他の地区でも老朽化した時点で更新しない方針。
 スーパー防犯灯は、ひったくりや路上強盗などの街頭犯罪対策の切り札として全国で導入が進められた。警視庁管内では、これまでに備え付けの防犯カメラの画像などから、傷害二件、ひったくり、ひき逃げ各一件の容疑者逮捕につながった。 同庁生活安全総務課一幹部は「安全・安心のシンボルとして一定の役割を果たした。防犯ボランティアや警備員によるパトロール、防犯カメラの導入などで安全を担保したい」と一話す。
 警察庁幹部は「不要一とは思っていないが、修理ができなかったり、費用が大きくかかったりすることもあるようだ。使えるうちは使ってほしいが、最も効果的な方法を各都道府県で判断してもらえばいい」としている。


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