電線を規制し、広い空取り戻して
カメラマン 石渡辰夫(東京都練馬区 82)

朝日新聞 2010年7月21日(朝刊)


 かつてヨーロッパを旅した時(どんな田舎に行っても電柱や電線がないため、街が美しく、空が広々としていたことを忘れられません。
 振り返って日本の町並みは、曲がりかけた電柱に100ボルト、200ボルトの電線、電話線、各種ケーブル、変圧器と縦横無尽に空を覆っています。最近はテレビのデジタル化に伴うケーブルテレビ用のケーブルまで仲間に加わっています。
 都会の空も以前とは比較にならないくらい澄んだ青空になり、街路樹は増え、道路も建物も新装され、美しい日本の風景がよみがえってきたのに、やりたい放題の架線には怒りを禁じえません。こんなことがまかり通る日本は、先進国とは言えません。すべての電線を地下に埋めるのが困難なら、まとめて配線をするとか、できるだけ電柱を減らすとか、関係機関が規制を実施し、美しい日本の風景を取り戻すべきです。
 日本人は古来、美意識の強い国民ですが、公共物に対して無頓着な面があるのでしょう。どうか、皆様、一度、街の空を仰いで見て下さい。


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