車内騒音が無かったドイツの旅
主婦 深山 幸子(静岡県三島市 68)

朝日新聞 2010年7月21日(朝刊)


 最近、声欄で、新幹線など列車内での宴会や大声でのおしゃべりなど、マナー違反を指摘する投稿を拝読し、昨年の夫とのドイツ15日間の列車による旅を思い出しました。 超特急、特急、普通の各列車を乗り継ぎ約2千キロ。その間、乗客の他者への配慮に感心しました。車内では、静かに本を読んでいる方々が大多数で、「数独」に挑んでいる方も。グループ、親子、姉妹で乗っている方々もおられましたが、声高におしゃべりに興じている場面に出くわしたことはありませんでした。ましてや宴会などあり得ない雰囲気です。
 一方、市電で相席になった中年女性は、私たちが旅行者であることを察し、最寄りの駅を教えて下さったうえ、どこを訪ねてきたのかと問いかけて下さいました。私が強制収容所をあげると、「いいところに行ったわね。でもあそこはドイツにとっては恥ずかしいところです」と。こんな方々との車内の出会いも心にしみました。公共の場でのマナーを小さな時から身につけている人々の国ならではの快適な列車の旅でした。


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